活動の報告

神戸地裁判決後の取り組み経過



2019年4月16日 神戸地裁判決
 主文では「原告らの請求は棄却する」とされたが、判決内容において、設計図書の重要性が示された。
 西宮市に対しては
 ・届け出内容を超えて、アスベストについての積極的な調査義務や権限の行使義務を認める判断をした
 ・大防法や条例に則した適切な対応ではない
 ・調査権限による調査や、改善命令や勧告などの規制権限を行使しておれば、アスベスト飛散は防止できた
 以上の事が示され、原告らの主張は認められた。裁判は勝ち負けだけでは評価できないことを実感した。

5月7日 控訴せず
 判決についての評価は上記であるが、一方不服として
 ・設計図書で使用が確認されたレベル1や2が約20ヶ所、レベル3が130余ヶ所と質・量ともに想像を絶する規模のアスベスト隠しや、
  これに基づく健康リスク評価について十分に審査されたとはいえない
 ・アスベスト濃度測定に誤解がある
 などを挙げることができる。
 しかし、アスベスト飛散に対する事後対応や飛散防止の仕組みづくりに注力することを選択し控訴は断念した。

5月27日 西宮市石井市長と面談し要望書提出
〈要望概要〉
 ・リスクコミュニケーションガイドラインを軸に現実的な問題を考慮して、より安全な仕組み(条例や指針の制定など)を実現するた
  めの作業手順やメンバーについてご検討下さい
 ・判決において示されたアスベスト曝露による健康被害への対応や、行政の責務や設計図書の取り扱いなどの調査権限についての見解
  をお聞かせください
 ・訴訟に至る原因となった「西宮市が最後まで調査を拒んだ理由」について検証することは、市民にとって重要であると考えています

6月11日 西宮市議会議員41名にアンケート依頼
 ・市民が裁判を提起する事により初めて真実が明らかとなり、違法工事によるアスベスト飛散が確認されたことなどについて、西宮市
  において健全な市民社会を守るために行政や議会が果たす役割について問う内容であった。
  しかし、回答率は極めて低く、重大な社会問題にも考えを示そうとしない議員に失望し、不誠実な対応に市議会に対する信頼さえも
  なくすものである。 アンケート集計結果

6月23日「西宮こしき岩アスベスト裁判」報告集会 夙川公民館にて約30名、他西宮市議会議員2名マスコミ関係者数名が参加
 旧夙川短大校舎解体におけるアスベスト飛散事件の裁判結果について、司法の立場より室谷弁護士、市民活動の立場よりアスベストセ
ンター永倉氏、住民の立場より原告代表上田が報告した

6月25日 震災25年企画「震災とアスベストを考えるシンポジウム」打ち合わせ

6月27日 西宮市議会においてよつや議員が裁判結果について質問し、須山環境局長が次のとおり答弁
 「アスベストの飛散については、判決において『本件土地の周辺地域に一定量の石綿が飛散したことを否定することは出来ないとした
 ものの、この飛散した石綿の内本件土地の周辺地域に到達したものの量は、客観的にみた時に人体の健康に影響を及ぼすものであった
 と認めることはできない』と判断されたと認識している」
この答弁については、健康被害の心配はないかのような誤解を生じる内容であり、市が責任を持って検証し見解を示すべきである。

7月6日 市民オンブズ西宮にて講演「アスベストの飛散と西宮市の責任」

7月9日 西宮市長他と協議
 田村副市長、須山環境局長ら数名 住民7名
 協議の目的は 6月18日付の回答書と6月27日の議会答弁に関するものであった。回答書(別掲載)は判決後とは思えぬ一般的な内容で
あった。
 また、議会における答弁内容は単に判決の一部を説明しているだけで、市民が誤解する恐れがあるため、訂正するよう求めた。
 その根拠として、
 ・裁判において原告らは健康被害を立証できなかったことを意味しているにすぎないこと。
  この理由は、行政のアスベスト隠しによる欺瞞的な回答を繰り返す間に建物は撤去されて証拠はなくなったことである。
 ・健康被害は、医学的、科学的に検証されるべきである
 ・設計図書の記載によれば「相当量のアスベストが存在し」将来の健康被害発生を想起せずにはおれないこと
 など説明したが、「裁判に関してはこれ以上話し合うつもりはない」とする石井市長に「オープン西宮」をスローガンにしていた選挙
前の姿は既に消え失せていた。
 さらに、裁判提起の原因となった「調査するつもりはない、アスベストはない」を強弁し続けた当時環境局長の田村副市長(裁判の当
事者であるにも拘らず判決を待たずに市議会で承認され副市長に登用)の問答無用の態度と同じ構図ではないか。
 西宮市が何も変わっておらず、未だ危機的状況にあることの証である。非常事態に対応できるリスクマネジメント能力が疑問視されて
おり事態は重大である。

7月13日 千里医師連合会主催「市民公開講座」 千里サイエンスビルにて開催
 予定されている千里セルシ―などの再開発事業にともなう大規模解体の安全を求めて

7月18日 神戸市保健所長らと協議 兵庫県保険医協会として
 ・試行調査(石綿曝露者の健康管理に係る試行調査)終了に対する今後の対応
 ・阪神・淡路大震災におけるアスベスト曝露問題について

8月28日 情報公開
 西宮市川添町、甲子園八番町の解体に関して、住民からの相談に応じて行うが、いずれも役所が住民の相談に十分応えていないことが
原因。一方は、住民が途方に暮れて、他方は自治会主導の調査を業者に認めさせた事例である。

9月9日 兵庫県庁 政策調整班と疾病対策課と協議 兵庫県保険医協会として
 ・試行調査(石綿曝露者の健康管理に係る試行調査)の今後の対応について
 ・阪神・淡路大震災におけるアスベスト曝露問題について⇒当時の調査資料を検証することを要請

9月14日 アスベスト勉強会 アスベストセンター主催 西宮商工会議所にて
 ・大気汚染防止法の改定を前にして
 ・築地市場における新たなリスクコミュニケーション事例について
 ・夙川裁判結果とその後の経過について、行政の対応に疑問が深まり基本に戻り、行政とは本来「法を遵守した健全な市民社会を維持する
  ためのパブリックサービスを行う公共機関」であるが・・・
 ・簡易型偏光顕微鏡による石綿繊維観察実習

9月20日 多業種交流会で裁判結果や震災によるアスベスト曝露問題について講演

10月1日 西宮市保健所(副所長、健康増進課長)と協議
 ・試行調査(石綿曝露者の健康管理に係る試行調査)今後の対応について
 ・阪神・淡路大震災におけるアスベスト曝露問題について
 ・旧夙川短大アスベスト飛散事件の事後対応について

10月3日 情報公開(環境保全課) 村上先生(小児科医)に同行
 ①裁判において指摘されたアスベスト飛散防止策に関して、西宮市が行った議論やマニュアル作成などを示すすべての行政文書
 ②南海トラフ地震に対応したアスベスト飛散対策
 ⇒①については「該当する文書は不存在」であった。裁判終了後すでに5か月が経過しているにも拘らず・・・である。
  環境保全課長の「裁判に関して話すことは禁じられている」との発言にはあ然として反論する言葉も見つからない。
  恐怖政治か単なるお粗末か、リスクマネジメントの能力が試されている。

10月9日 西宮市職員関係者と協議

10月21日 須山環境局長と協議  「なぜ控訴しなかったのか」の質問に、あきれ果てる。つくづくわが町の職員の世間離れした思考方法には恐れ入るしかない。
 市民が西宮市を訴えて初めて真実が明らかとなったことをどのように受け止めているのだろうか??

10月27日 兵庫県保険医協会日常診療交流会にて発表
「阪神・淡路大震災におけるアスベスト曝露問題」

10月31日 情報公開(環境保全課、営繕課) 村上先生(小児科医)に同行して参加
 ・2号庁舎解体におけるアスベスト対策

11月7日 情報公開(建築指導課) 村上先生(小児科医)に同行して参加
 ・災害時防災マニュアルによるアスベスト台帳調査状況について
  ⇒所定のアンケート回答について問題あるとしながらも途中で放置
 ・尼崎市では公表について検討中。芦屋市では3次にわたって調査、1,000㎡以下についても調査し、結果はホームページにて公表しており、
  市民と情報を共有できている。

11月28日 情報公開(環境保全課)
 ・八番町解体アスベスト調査届け出内容について
  ⇒住民説明会での説明内容が過少に申告されていた、役所は知る由も無。
   業者が信用できない場合に住民は役所に頼るしか方法はないのだが、役所はこれに応えていないのが現状である。
 同日、西宮市長、西宮市保健所長と教育委員会教育長宛てに要望書提出
 ①西宮市が責任を持って、アスベストが飛散した事実を、場所や期間など具体的に公表すること
 ②西宮市が責任を持って、アスベスト曝露による健康リスクを検証し、リスクを負った人たちへの対策について説明すること
 ③この過程における会議などの議事録を公文書として保存すること


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