活動の報告

建物の解体・改修とアスベストに関する届け出(行政手続き)まとめ
(届出内容、関連法や条例、届出時期などについて)


 ☆解体現場に関心を持ちましょう

   近所の建物がいつの間にかシートに覆われており、何が始まるのだろうか?と思ったことはありませんか。
 その時に役立つものがあると助かるのに・・・。 それに応えようと思い作成しました。
 役所への手続きや法律に関する項目が中心となるため、硬い表現となりましたがお役に立てれば幸いです。

 まずは、現場の看板にはかなり詳しい情報が記載されていますので、写真に撮っておくと何かと役立つことになります。
 解体現場から飛散するアスベストは、周囲の人たちの健康に悪影響を及ぼすかも知れません。
 ましてや将来ある子供らを守らなければなりません。そして、最も危険な所で作業をする人たちが病気にならないために、お互いの安全のために、現場に関心を持つことから始めましょう。

Ⅰ.行政手続きの概要
西宮市における解体アスベストに伴う届け出等手続き
・建築基準法
建設リサイクル法(建築調整課)
特定建設作業実施届出書
 特定建設作業(著しい騒音または振動を発生させる作業)を2日以上実施する際に届出。建設リサイクル法と同時期、作業開始8日前まで工事の元請業者が提出
・アスベストに関する届け出(後述)

 健康に直接かかわる重要な問題であり、私たちに出来ることはないだろうか。
 クボタショックの翌年(2006年)にアスベストの使用が禁止されて以降、アスベスト製品の製造工場はなくなった。
 現在のアスベスト飛散の原因は、建造物に使用されたアスベスト(注)が不適切な飛散防止対策のまま行われる解体や改修工事による。
 私達住民が、身近で起こる解体や改修現場に注意を払うことによって、住民のみならず作業員の健康に寄与できると信じたい。
(注)輸入したアスベストの約8割が建材に使用されている。天井吹きつけ、屋根裏・煙突・配管の保温断熱材、吸音板、壁の塗り材、床用ビニルシート、スレート波板、石膏ボートなど多種多様。

Ⅱ.アスベスト(石綿)の分類と対策
 飛散性(レベル1、2)や非飛散性(レベル3)という分類は誤解の原因となるため使用しない。
①レベル1:吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールなど、最も飛散しやすく危険。プラスチックシートで密閉し、内部を陰圧に保ち厳重な飛散防止策が必要。
②レベル2:耐火被覆板、配管保温材、屋根用折板裏や煙突用断熱材。レベル1についで飛散しやすく、レベル1と同等の飛散対策が必要。
③レベル3:上記以外でスレート板、ケイ酸カルシュウム板やサイディングなど28種類2030製品に及ぶ。バールで破砕すると3,000本/リットル程度が飛散するため、切断や破砕せず、湿潤化して手バラシで行う。

*法を遵守することは最低限守るべき行為であって、これをもって飛散しない安全な工事とはいえない。
*大気汚染防止法では、除去作業中の漏洩チェックのためのアスベスト濃度測定や、第三者機関による完了検査などの安全対策は未だに採用されていない。
*特に公共事業においては法を遵守することで満足し、安全対策には消極的で問題が多い。

Ⅲ.現場の「お知らせ看板」(大気汚染防止法)表記に注目しよう
まずは、手持ちのカメラで写真に収めましょう。(必須)
看板の他にも、工事現場の気になる場面の写真撮影は、住民や作業員の安全のためにも効果的です。
「お知らせ看板」はA3サイズ以上のものを掲示し、看板の様式は、事前調査した結果と合わせて記載する。
看板の下地は飛散性アスベスト(レベル1、2)がある場合は黄色、非飛散性アスベスト(レベル3、除去方法によるレベル2)がある場合は白色のものを使用

「お知らせ看板の内容」としては
・一般事項の他に、事前調査年月日、解体工事期間、石綿除去期間など
・事前調査方法の概要として、調査方法(設計図書・目視・分析調査)、調査箇所、調査結果の概要、除去作業の概要が記載  調査結果の概要:場所、建材名、石綿の種類、判断根拠
 除去作業の概要:処理方法、飛散の抑制方法などが詳細に記載されている
・発注者又は施工者、元請け業者、現場責任者や、石綿に関して調査又は分析した者、資格など
*アスベストが「ない」場合でも、その判断の根拠になる調査方法などが記載されるが、「設計図書+目視」調査が最低限必要であろう。
*「含有見なし」とは、最後の廃棄処分までアスベスト「あり」として扱うことであり、工事途中で「なし」に変更されるものではない。
*アスベスト「なし」として工事中にアスベストが発見された場合は、飛散防止策なしの工事扱いになるため「アスベスト漏洩」となり、直ちに工事を中止し、役所や周辺住民に通知しなければならない。

Ⅳ.アスベスト(石綿)に関する行政手続き(石綿含有建材を除去等する場合に必要な届出書について(西宮市HP)
 大気汚染防止法に基づく「特定粉じん排出等作業」とは大気汚染防止法の改正によりすべての石綿含有建材が特定建築材料となり、これらの除去等作業が「特定粉じん排出等作業」(特定工事)となる。

1)『特定粉じん排出等作業実施届出書』(大気汚染防止法)
 特定建築材料の中でも吹付け石綿・石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材については、建築物又は工作物を解体、改修しようとする場合、除去作業開始の15日前までに、発注者又は自主施工者の提出が必要。
石綿含有保温材のエルボ部などを非石綿部で切断撤去する場合は、大気汚染防止法では届出は不要であるが、県条例では届出が必要。

2)『特定工作物解体等作業実施届』(兵庫県条例「環境の保全と創造に関する条例」)
 特定建築材料のうちレベル3や除去方法によるレベル2アスベスト建材を建築物の解体工事で(注:改修工事は含まれない)撤去する場合が対象となり、作業着手の8日前までに提出する。

3)『作業手順書』(西宮市)
 法や条例の届出対象とならない特定粉じん排出等作業について、マンションの大規模改修工事や空調用ダクトの更新時に外壁材やダクトパッキンを撤去する場合、飛散防止対策を十分に講じていないと飛散の恐れがあるため、作業着手8日前を目途に提出を求めている。請負金額が100万円以上の改修工事で、ダクトパッキン類、仕上げ塗材、下地調整剤が対象となる。

4)『石綿事前調査結果報告』(大気汚染防止法)
 解体等工事を行う場合の石綿有無に関する事前調査について(西宮市HP)
*解体で80㎡または改修で100万円以上の場合には、石綿の有無にかかわらず、着手前までに届出が必要。
*解体で80㎡または改修で100万円以下の場合は、「石綿事前調査結果報告」の義務がないため実際に事前調査が行われたのかが不明である。「特定粉じん排出等作業実施届け出書」や「お知らせ看板」でアスベスト「なし」とあっても確認することはできない。



<