活動の報告
NPO法人 ストップ・ザ・アスベスト設立のお知らせ
2022年5月19日、特定非営利活動法人ストップ・ザ・アスベストが誕生しました。
今までの「ストップ・ザ・アスベスト西宮」を発展的に解散し、新たな気持ちでNPO法人を設立しました。
わが国ではアスベストに関する法や規則が各省庁に分散しているため、それらを簡単に調べることはできません。
また、阪神・淡路大震災のアスベスト曝露による公的な健康リスク評価もありません。
これに象徴されるように、わが国のアスベスト対策は欧米と比べて10年の遅れが持続したまま現在に至っています。
アスベストが発ガン性物質であることを再認識することからスタートしようと考えました。
皆様方のこれまでのご支援に感謝いたしますとともに、今後共温かく見守っていただきますようお願い申し上げます。
理事長 上田進久
《私たちの活動目的をご紹介するため、以下に設立趣意書より抜粋しました》
アスベスト(石綿)は多くの物性に優れ「奇跡の鉱物」として大いに利用されましたが、その約9割は、建材製品として
建造物に使用されています。
ビルの高層化に伴い、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として高度成長期に多く使われました。
しかし、肺ガンや中皮腫の原因となることが明らかになり、1975年には吹きつけアスベストの濃度が5%以下に制限され、
さらに1995年の阪神・淡路大震災直後に青や茶石綿の使用が禁止されました。
震災で倒壊した古い建物には高濃度で発ガン性の強い青や茶石綿が使用されており、これらが街中に飛散して多くの住民
が曝露を受けたと考えられます。
また、2005年の「クボタショック」では周辺住民のアスベスト被害が明らかとなり、職業曝露から環境曝露による健康被
害へと大きく展開し、住民のアスベストへの関心が高まることとなりました。
その結果、2006年にアスベストの使用が禁止されました。現在、飛散防止に関する法律が整備され、「石綿による健康被
害の救済に関する法律」などが成立しましたが、決して十分な対策とは言えません。
今後、国交省では建築物の解体によるアスベストの排出が2040年頃にピークを迎えると予測しており、これらをいかに安
全に除去できるかが大きな課題となっています。
私たちは、「ストップ・ザ・アスベスト西宮」を結成し、身近な所からアスベスト問題に取り組んできました。
また、全国のネットワーク作りの一環として「アスベスト市民ネット」の結成にも参加し、一般市民への啓発活動として
シンポジュウムを開催しました。
これらの活動は住民への啓発に一定の成果をあげており、解体工事に不安を持つ住民から助言を求められるようになりま
した。
身近で起こる解体工事において、相談窓口として住民を支援し、リスクコミュニケーションの充実を図り、地域社会の安
全に寄与することを目標にしています。
また行政に対しては、市民の立場で安全対策についての提案を行っています。今後は、ノン・アスベスト社会の実現に向
けて安全対策に注目して情報を収集し、子供たちの未来のためにさらなる提言を行っていきたいと考えています。
法人化することによって組織の継続化を図り、活動を展開させることができます。将来的には、建築物の解体のみならず、
震災などの自然災害によるアスベスト曝露(いわゆる「環境曝露」)において、曝露状況を検証し、健康リスク評価に基づ
いた対応策を提言できる体制作りを推進し、地域社会の安全に寄与したいと考えています。