活動の報告

JR西宮駅南西地区再開発事業 第1期解体及びアスベスト撤去工事説明会報告


「最初が肝心」の教訓

 JR西宮駅南西地区再開発事業の説明会に参加した。先の説明会は何かと不備があり、再度の開催となったようだ。
 解体工事に伴うアスベスト対策の説明が主なテーマであるにもかかわらず、解体やアスベスト除去業者は出席していないことに違和感を持った。
作業担当者が顔を見せて、住民と直接意見を交換する中で互いの信頼関係が築かれるのではないのか。

 西宮市市街地整備課の職員も前に並んでいる。
 実際に作業を行う者ではなく、元請けが代役として説明したのでは、「規則を守るから安心してくれ」のワンパターンの繰り返しばかりで住民の
冷めた目線に気づいていない。
 一度疑念を持たれると住民の信頼を取り戻すことがいかに難しいかを痛感したが、まさに「リスクコミュニケーションガイドライン」に書かれて
いる通りの状況だった。

 もう一点重要なことで度々問題になることは、説明会の対象となる住民の範囲である。今回の案内文では、仰々しく西宮市の「街づくり条例」を
掲げて先の説明会で対象者の範囲を絞ったことの説明としているが、これは間違いなのだ。
 再開発事業では、既存建物が解体撤去されて更地となり、その後新たな建設が始まるという二段階からなっている。
「街づくり条例」は、更地から新たな建設に適用されるものであって、日照権や風通しなどを協議する際のトラブルを予防するためのものである。
 残念ながら、解体に伴うアスベスト除去に関する条例は未だ整備されておらず、喫緊の課題である。西宮市が関わっていながら、このような条例
を誤って引用することは厳重に注意していただきたいものだ。

 私の個人的な印象であるが、民間事業よりも市が関わる事業の方に問題がありそうなのだ。
「法を守るから安全」という安全神話の呪縛から抜け切れていないことが原因だが、法だけを前面に押し出して説き伏せるという古い慣習に頼って
いることが多いのだ。
 余裕を持って住民説明会を開き、最初からすべてを公開して双方が納得するよう十分に意見交換することの大切さを教訓としたい。

 最後に、この説明会には関係する自治会の代表者が揃って参加しており、活発な意見交換に加わっていたことに少し安堵し会場を後にした。

(上田 進久)





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