活動の報告

最終の口頭弁論が行われました


2019年2月6日(水)、神戸地方裁判所204号法廷において、こしき岩アスベスト訴訟の
最終口頭弁論が行われました。
弁護士らによる最終書面は実に50ページを超え、原告である私たちのこれまでの取組み
が凝縮されたものになりました。
どのような事業主や解体業者であっても、行政の監督指導が公正厳格に機能しておれば
アスベスト飛散は防止できます。
しかしながら、住民が最も苦労しているのは、行政の対応です。
この様な現状が少しでも改善されるような判決を期待しています。
なお、判決は2019年4月16日に行われる予定です。
これまでの皆様方のご協力とご支援に感謝申し上げます。

(原告代表の上田進久による意見陳述の内容を以下に掲載いたします。)

真相解明のために提訴した裁判において、多くの真実が明らかになり、記録に残すこと
ができました。
裁判が終わろうとしている今、率直に「提訴してよかった」と思っています。
この裁判により重要な証拠となる設計図書が開示され、夙川短大校舎にあったアスベス
トの全容が明らかとなり、これに基づき中皮腫・じん肺・アスベストセンター永倉冬史
氏のリスク評価により、近隣住民の健康被害の不安がより現実的なものとなりました。
「なぜ、アスベスト曝露を防げなかったのか、どうしたら工事を中止させて飛散を防止
できたのか」と思い悩む日々が続きました。
事業主や解体業者の無責任な主張は、責任転嫁だけでなく、アスベスト隠しを物語って
います。
西宮市については、設計図書の存在を知っていながら敢えて調査せず、この裁判によっ
て虚偽であった事が判明した解体業者による事前調査の内容を確認することもありませ
んでした。
もしも再調査をさせておれば、アスベスト曝露は防ぐことができたはずが、その指示を
怠ったことにより、アスベストが飛散し近隣住民の曝露に至った事が明らかとなりまし
た。
この様な不作為は断じて許されるものではなく、この現実を認めていれば今後のアスベ
スト曝露は防止できません。
また、この裁判における西宮市の一連の主張は、非現実的で形式論の枠を出たものでは
なく、私たちは、ことごとく事実に基づいて反論することができます。
「環境学習都市」を宣言している同じ西宮市民として実にむなしく残念でなりません。
この裁判は、今後のアスベスト被害が無くなるように、将来の世代のために提起したも
のです。
余計な出費を抑えたいと考える事業主や業者に任せていたのでは、アスベスト隠しが横
行することは明白です。
アスベスト飛散防止を徹底するためには、行政による公正で厳重な監督指導権限が発動
されなければならず、将来のために本件での不作為を戒める判決を願っています。

平成31年 古稀を迎えて 原告代表 上田 進久