2017年4月18日(火) 「第4回口頭弁論が行われました」
2017年4月18日(火)神戸地方裁判所204号法廷において、こしき岩アスベスト訴訟の第4回口頭弁論が行われました。
当日は、傍聴席に人が入りきれなくなるほどの状況の中、信じられないことに西宮市の弁護団が欠席のまま開廷するという
まさに「欠席裁判」となり、アスベスト問題に対する市の意識の低さの現れなのかと思わされました。
そうした中、原告を代表して、アスベスト飛散の影響をもっとも大きく受けた隣接マンションの住民の立場から意見陳述が
行なわれ、マンションに降り注ぐ大量の粉塵で洗濯物を干すことさえできない状況や、市に対策の申し入れをしたにも関わ
らず、いい加減な回答しかなかったことなど、具体的な事例をあげて近隣の住民の不安と恐怖を切々と述べられる一方、
市と開発事業者の無責任ぶりに「ガツン」と鉄槌を下していただき、胸がすく思いでした。
私たちストップ ザ アスベスト西宮は、建物解体に伴うアスベスト飛散による健康被害を決しておこさない社会の実現に向
けて取り組んでまいりますので、引き続きのご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
私は、旧夙川学院短期大学正門から県道挟んだ向かいのマンションに居住しています。学生がいた頃には、ベランダから校
舎の窓に目を向けると、授業中の学生の姿が見えました。それくらい近くに住んでいます。
私は、当初は居住するマンションの管理組合の理事長として、大規模な開発計画に関する会合に参加していましたが、解体
工事の後、アスベストの飛散という問題が浮上した時たいへん衝撃を受けました。そして、中皮腫など死に至る病気を引き
起こすことになりかねない問題を放っておけなくなり、個人として、原告に参加することを決めました。
夙川学院短期大学周辺は住宅街であり、短大跡地の周辺の道路は地域住民の生活道路であり複数の学校の通学路でもあり
ます。子どもたちの将来の健康にも影響を及ぼしかねない有害物質の飛散の疑いに、問題をうやむやにせず、真相を解明し、
再発防止の体制をつくることが必要であるというのが提訴に至った原告38名全員の共通の思いです。
裁判の中で、提訴前から西宮市や創建に何度も開示を求めていた設計図書がようやく開示されました。
設計図書の解析結果に、私たち原告は愕然としました。
旧夙川学院短期大学の建物には、アスベストが大量に利用されていた当時の建物の見本であるかのように、至る所、至る箇
所に様々なアスベスト使用が確認されました。私たちの予想をはるかに超える膨大な量です。
飛散性の高くないレベル3のことばかりが問題となっていましたが、飛散性が高く厳重な対策が必要なレベル1、レベル2
までもが多く確認されました。このような事実は、短期大学のすぐそばで生活をしている者として簡単に看過できることで
はありません。
私達素人でも夙川短期大学には少なからずアスベストがあるのではないかと疑問を持っていました。
解体工事や建設工事のプロであるみなさん、それを監督する立場にある西宮市の担当職員であれば、アスベストの存在を容
易に予測できるキャリアをお持ちなのではありませんか?
夙川短期大学は、そもそも「アスベスト有りき」で対応をすべき建物ではありませんでしたか?
調査をきちんと履行し、適切な対応をすることが、プロのみなさんの仕事であり、責任ではありませんでしたか?
みなさんの対応に、大きな疑問と不信感を抱かざるを得ません。
創建や三栄建設の方は、一体何を根拠にアスベストが無いと言う判断になったのでしょうか?全く理解できません。
西宮市の職員の方は、何を調べて、アスベスト「有」の届出を「無」と出すように指示されたのでしょうか?監督機関であ
り、住民を健康被害から守る砦であるはずの西宮市の調査があまりにも形式的で意味のないものであったことに、私たちは、
怒りを抑えることができません。これでは到底、近隣住民をアスベストから守ることはできません。
創建、三栄建設、西宮市は、近隣住民には専門的な知識が無いからと、誤魔化したと思わざるを得ません。
これまでの被告らの反論の中で、設計図書には記載があっても現場は異なっているというものがありましたが、これだけの
大量のアスベストが存在しないことをどのように確認したのでしょうか?現場は違うというなら、きちんと調査をした根拠
を近隣住民に示していただきたいです。
私たち、近隣住民が見た建物解体現場の養生は、建物全体をきちんと膜で覆っておらず、おおまかなものでした。
私のマンションの住民が6階の高さから2号館の体育館解体工事の様子を連日見ており、重機や工事の方の姿も見えるくら
い養生の幕の張り方もいいかげんだったため、西宮市に電話したところ、アスベスト処理は済んでいます、きちんと対策を
していますと言われたそうです。
実際に多くの住民が解体現場から大量の粉塵が飛んでくるのを目撃しており、原告の中でも、粉塵がひどく市役所に苦情を
入れた人や洗濯物が干せなかった人もいます。
アスベスト対策もせず、多くの粉塵を飛散させていた解体工事で本当にアスベストが飛散していなかったと言えるのでしょ
うか?私たち、近隣住民に納得いく説明をしてください。
被告の方々は、夙川学院短期大学のような建物の解体工事を、ご自分たち自身のご家族が住んでおられる目の前ですること
になったら、果たして同じ対応になったでしょうか?絶対にそうはならなかったでしょう。
建物解体工事の際、アスベスト飛散対策を十分にしないことは、現場で働く作業員や近隣住民の健康や生命を脅かす行為で
あることを肝に銘じていただきたいです。
アスベスト問題は、発症までの期間も長く、目に見えないため、飛散の証明や因果関係の立証もしにくい難しい裁判にな
るとお聞きしています。しかし、アスベスト含有建物の解体工事が本格化するなかで、十分な対策がなされなければ今後ま
すます被害者が増加していきます。
裁判所に、おかれましては、問題の重要性をご理解いただき、この問題に正面から向き合っていただくようお願いいたし
ます。
この裁判を機に、全国各地で同様の事が起こらないように十分な対策、行政の指導が徹底されることを願います。また近隣
住民に積極的に情報が開示され、住民が被害防止対策に参加できる仕組みを望みます。