活動の報告

2016年11月20日(日)「日本環境法律家連盟の皆さんと合同勉強会を開催しました」

“アスベスト勉強会”

2016年11月20日(日)日本環境法律家連盟の皆さんとアスベスト問題に関する合同の勉強会を開催しました。
まず、大阪アスベスト弁護団の小林弁護士から、アスベストによる健康被害の種類、アスベストに関する訴訟による救済状況
と現状の課題などについて報告を受けました。

“小林弁護士”


アスベストは「静かな時限爆弾」とも呼ばれ、ばく露から発症までの潜伏期間が長期にわたること、ばく露経路の特定が困難
であり原因製品の特定が困難であること、また、肺がんについては、非特異性疾患であり、アスベストが原因という特定が困
難であることなどから、訴訟による救済が難しい現状があるが、こしき岩アスベスト訴訟は、アスベスト飛散の実態を解明す
ることで、これから起こるかもしれない被害に対して救済の道を残すとともに、日常の生活の中でアスベストばく露を避ける
ことを意識することの大切さを社会に訴えていくことは「未来の子どもたちへのプレゼント」になり、大変有意義であること
から、ぜひ頑張っていきましょうとのエールをいただきました。

続いて、こしき岩アスベスト訴訟原告団代表の上田より、訴訟提起に至った経緯や想いを報告しました。

“原告団代表上田”

アスベストが「ある」から「ない」に差し代わった届出書の存在、無届での学生寮解体工事の強行など、ずさんな工事の実態が
次々と明らかになり、ついには、解体されずに残されていた9号館から飛散の恐れのあるアスベストが発見されもなお、「アス
ベストはない」の一点張りで真摯に向き合おうとしない事業者や行政に対する憤り。
行政が「アスベストはない」との姿勢であるため、自治会や PTAなどの団体の動きも悪く、行き詰まりを感じる中で「真実を
解明し、同じことを決して繰り返してはならない」との思いで、アスベスト裁判の参加者を呼び掛けに自主的に集まった38人の
原告団とともに、これらかの裁判を闘っていきたいという決意を語りました。

そして、若江・神園自治会の河村会長から、現在進められている夙川学院中・高等学校跡地の開発に対する自治会としての取組
について報告をいただきました。
“若江・神園自治会河村会長”
夙川学院中・高等学校の校舎の解体工事では、ストップ ザ アスベスト西宮の取り組みもあり、アスベスト対策は慎重に行っ
ていると感じるが、それでも、解体工事の振動や騒音は相当なものである。
若江・神園自治会では、事業者と工事協定を締結したが、芦屋市のHPで協定書の事例がダウンロードでき、非常に参考になった。
西宮市は、近隣自治体と比べて、非常に遅れていると感じる。
また、このような問題が生じた際に、事業者や行政にしっかりとものを言うためには、自治会がしっかりしないといけないが、最
近は、住民同士のつながりが希薄となっており、コミュニティの再生が不可欠である。住民同士のつながりを強くするような取り
組みを自治会として行っていきたいと語っていただきました。
この勉強会を通じて、日本各地で環境問題に取り組まれている弁護士の皆さんとアスベスト問題について共有することができ、大変
有意義なものとなりました。
 
【質疑応答の概要】
Q:アスベスト除去工事の作業方法は法律で決まっているのか?アスベスト除去費用は非常に高額とのことだが、コストを下げるこ
とは出来ないのか?高額ゆえに不正を行う業者が出るのでは。

A:飛散性の高いものから順にレベル1からレベル3に区分した作業規定がある。コストを下げる努力は必要だが、アスベスト製品を
製作している会社がアスベスト除去工事に関わるなどによって高コスト体質となる構図があり問題である。

Q:裁判の参加者を募った範囲を半径1kmとした根拠は?

A:尼崎のクボタ旧神崎工場の半径1.5km以内でアスベストによる深刻な被害が発生していること、旧夙川短大の半径1km以内に多くの
幼小中高校があること、できるだけ多くの住民にこのような問題があることを知っていただきたいという思いで設定した。