「アスベスト裁判提訴への連帯のメッセージ」
西宮こしき岩アスベスト裁判原告の、旧夙川学院短期大学校舎解体工事による周辺環境へのアスベスト
ばく露事件の全容解明と責任追及を求める損害賠償請求訴訟への取り組みに、心から敬意を表します。
わが国におけるアスベスト被害は、年々増加の一途をたどっています。アスベスト被害はアスベストに
関係する労働者ばかりでなく一般住民の健康をも脅かしています。その発がん物質アスベストは、いま
だに大量に建物の中にストックされ、改修工事や解体工事の際に環境に放出されることになります。国
土交通省は飛散性アスベストが使われている可能性のある建物が280万棟と推計し、これから解体工
事のピークが訪れるとしています。そのような現状の中で、解体工事のアスベスト対策は十分に監督・
監視されているわけではありません。解体工事費用をいかに減らすか、面倒なアスベスト対策などせず
にいかに工期を短縮するかというような工事現場での力学は、行政の認識の甘さにつけ込み、ずさんな
アスベスト対策の工事が行われ、労働者や周辺住民のアスベストばく露につながります。
旧夙川学院短期大学のケースもそのような例のひとつだと考えられます。ずさんなアスベスト対策を伴う
解体工事を根絶し、近隣住民の被害をなくすために立ち上がった「ストップ ザ アスベスト西宮」の
運動は、わが国全体の住民によるアスベスト被害根絶運動の見本となるものです。本来行政が監督・監
視すべきリスクマネジメントに住民が積極的に参加し、リスクコミュニケーション、ハザードコミュニ
ケーションの実践例としても先駆的な取り組みだと考えます。このような住民による工事の監視ネット
ワーク、また行政に対する監視ネットワークが、アスベスト被害者の予防に大きな役割を果たすことでしょう。
そのような歴史的な意味でも、この裁判により、旧夙川学院短期大学解体工事の全容解明と西宮市によ
る調査の実態の解明は重要だと考えます。中皮腫・じん肺・アスベストセンターは「ストップ ザ ア
スベスト西宮」の運動と連携し、将来のアスベスト被害の予防活動に取り組み、旧夙川学院短期大学校
舎解体アスベスト裁判を全面的に支持、協力していきます。ともに協力し、がんばりましょう。
中皮腫・じん肺・ アスベストセンター
代表 名取 雄司